[本棚]――[書籍]――[第78回]――[読書について(2)]




文庫: 158ページ

出版社: 岩波書店; 改版版 (1983/01)

ISBN-10: 4003363221

ISBN-13: 978-4003363225

発売日: 1983/01




読み返してみました。




・読書は、他人にものを考えてもらうことである。本を読む我々は、他人の考えた過程を反復的にたどるにすぎない。

・良書を読むための条件は、悪書を読まぬことである。人生は短く、時間と力には限りがあるからである

・「反復は研究の母なり。」重要な書物はいかなるものでも、続けて二度読むべきである。


『読書について』の項から、自分が線を引いていた部分から、割と無作為に引用したものですが……

各々の文章が一つの箴言に足りえる位に素晴らしいです。

特に、今回は「重要な書物はいかなるものでも、続けて二度読むべきである。」という精神に則って、もう一回読ませて頂きました。


読書論などの書籍の紹介で、このショーペンハウアーの『読書について』は屡挙げられるのを見かけます。

実際に、読んでみて分かりましたが、相当にお奨めです。

自分も他人に「読書論的な本は何を読めば良いか?」と問われれば、この書籍を推薦するでしょうね(とはいえ、滅多にそんなこと、無さそうですが……)。






後、物書きさんには、岩波の『読書について』に収録されている『思索』及びに『著作と文体』を是非ご覧になって頂きたいです。

『著作と文体』はドイツ語と他のヨーロッパ言語に比較している部分は、正直、チンプンカンプンでありますが……

それ以外の部分は非常にためになると思います。

また、自分が線を引いていた箇所から引用すれば、以下のような感じですね。


・著書は著者の思想の複製品にほかならない。ところで、思想の価値を左右するのは素材、つまり著者が試みた思想の対象であるか、あるいは素材に与える形式、素材に施す加工、つまり著者が対象についてめぐらした思想であるかのいずれかである。




長い年月を生き残ってきた書籍が「古典」というジャンルに属されますが……

その長い年月を生き残ってきたのは矢張り今までの生きてきた人が名著だと思ってきた結果である訳でして。

自分にとっても、また名著でした。

……ショーペンハウアーの『自殺について』も読んだことがありますが、病んでいる時以外は、素直に『読書について』の方が面白いかと思います(笑。




並々ではない努力が必要でしょうが、将来的には、その世代限りではない幾代も続くような作品を自分も創作したいものです( ^ω^)