[本棚]――[書籍]――[第82回]――[大学で学ぶべきこと、学ばなくてよいこと]


単行本(ソフトカバー): 214ページ

出版社: PHP研究所 (1998/04)

ISBN-10: 4569600727

ISBN-13: 978-4569600727




今更読んでも遅いのは否めませんが……


文章が平易で若干汚い感もあるので読み手を選ぶかも知れません。

感じとしては、ブログの記事のまとめみたいな感じですね。


読み易くはあるのですが、若干、タイトルに関する主題が薄いのと、話が飛びまくって一貫性を余り感じないのが残念です。




気になった箇所を2つほど引用。




与えられた授業に出てくるまじめな子は、せいぜいよくて、「あ、このオッサン、なんか頑張っているな」ってもんです。

でも、私が無気力にならないのは、彼らはきっと、哲学などというものを、一生習わないでしょう。

でも、「変なオッサンに習ったぜ、あいつこんな変な本書いてるぜ、鼻紙にもならない本だが」と、偶然にして思い出してくれることがあるのではないか、という思いがあるからです。

たまにしろ、「読んだぜ」というような便りをもらうこともあるからです。




今更言うことでもないのでしょうが、矢張り大学教授も人間なわけですよね。

本書を読んでいて、結局、大学に行く理由とは上記のようなのが大部分なのでは、と考えさせられました。

実際に、特定の学部向けに本を書いた人間が目の前で授業をしている訳ですしね。

著者によると、別に手紙やメールで済ませればよいので、必要以上に教授と付き合いを持つことはないと仰っております。

が、矢張り、一部に生涯の師となる教授もおられるとは説いております。

大学に行くのは、ある意味、教え手の人と触れ合うことにあるのかも知れない……という考えが本書によってまた強固になりました。

残念ながら、人付き合いは殺人的に苦手ではありますが、、、

今期から頑張ってみようと思います。

人脈があるに越したことはないでしょう。


……矢張り、教授が書かれた教科書の内容とかを質問しまくるあたりが妥当でしょうか(何。






これは、アダム・スミスがいったことですが、自由競争のもとでは、一流大学は銘柄で通る。

卒業しさえすれば、世の表通りを歩くことができる。

しかし、無印大学というのは、実力で売るしかない。

教師も学生も実力をつけて、初めて社会に認められるし、自分のやりたいこともできる。

だから、結果としてみれば、自由競争のもとでは、三流大学がいちばん良い仕事をする、せざるを得なくなる。




無名大学の自分涙m(ry。

畢竟するに、無名大学で実力もなければ、死んでいいよ、ということですよね。

実際、仰るとおりだとは思いますが……

ただ、よくよく注意したいのは、何を以って実力とみなすか、な気も致しますが。

某ZUN氏も、決して良い大学ではないですが、今は大成功しておられますしね……

だからといって、「ZUN氏だって、二次創作の戦いで勝って出世したんだ!俺だって、俺だってー!!」とか突っ込むのも死亡フラグな気がしてなりませんが。

ちょっと違うかも知れませんが、高校の教師で『化学I・IIの新研究』という名著を書かれた卜部氏とか、まさにこの例ではないでしょうか。

……と妄想で言ってみます。

でも、実際のところ、予備校講師ばかりが受験参考書を出す中で、高校教師の方が良い本を出すのはまさにこのような例に当てはまる気もしますね。


ともあれ、筆者が仰るように、大学の専攻分野に捕らわれず、他にも専攻したといえる分野を作りたいものです。

差し詰め、作曲科を専攻したいといったところでしょうか。

最近は、ピアノコードの本を拝見させて頂いて、漸く+9thとか+11thとかのテンション付加のルールを知ったところですが(何。




ともあれ、本書が仰るように、大学は向こうからこなすことを与えてくれるものではないのだから、能動的に行くことを念頭に置きたいと思います。