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ISBN:不明

(教育社 訳:浜久雄)



玄白先生の『形影夜話』は比較的マイナーなのではないでしょうか。
かように申すからには、言わずもがな、自分は不勉強にも存知得ませんでしたが……。

解説にもあるように、医者を志す人向けの書物です。
内容は、概ね旧来の誤った診断法や医師としての心構えなどでしょうか。
そして解説では、荻生徂徠などに影響を受けたのではないかとお書きになっていましたが、実際に医学と兵法学を交えて展開しております。
それはまるで孫氏の兵法書を医学に適応しているようであり……
とはいえ、玄白先生は良いにしても、こんにち出回っているような孫子兵法書を人生に当てはまるようなのは矢張り好きになれません(ぉ。
戦後に経営学に孫氏を適応しようというのが流行ったのに、今更という感が自分には否めません。
と、話が脱線しましたが……ともかく、玄白先生は、例えば、薬を銃・大砲などの兵器に喩えておられたりしてます。

数百年前も前にも、救いようが無い人を他に回したりしていたのですね。
無論、玄白先生はそれを仮借してはおられませんが。
矢張り、救えなかった時は遺族から責め立てられるのは今も昔も変わらないようですね……

全体を通して、割合、感銘を受けましたよ。
人の命を救える可能性を有している職業というのは素晴らしいことではないのではないか、と……
自分もいろいろと決心がつきそうです(謎。

ちなみに、玄白先生が一番生涯で診た病気は梅毒だったそうです。
なんかなあ……('A`)
寧ろ、その時代に欧州から日本にまで梅毒が広まってきた過程が気になりますね……