[本棚]――[書籍]――[第30回]――[朝日美術館 (テーマ編3)  幕末・明治初期の絵画]


ISBN:4022706031


幕末・明治初期の西洋の影響を受けつつあった絵画をテーマとしています。
明治になった瞬間に西洋化になった――絵画の歴史的分断があった訳ではないことを示唆してらっしゃいます。


いろいろ騒乱が多い時期だったようで、絵もまたショッキングなのが多かったです。
生首が沢山転がっている絵、死人の顔の皮を素手で引ん剥く男の絵、妊婦を逆さ吊りにして胎児を取り出そうとする老婆の絵……
解説に拠れば、当時はこういう絵が好まれていたらしく祭りに掲げられていた例も少なくないようです。
(´-`).。oO(日本人は中国人より残酷ではないと言っていた人は誰……?確かに、歴史的にみれば……)
また幽霊や化け物の類も、更には春画美人画か区別のつかない危絵も多いようです。
普通の絵画(?)も無論あるのですが……(教科書にあるような『龍虎図屏風』とかですね)
幕末の情念として描かれた絵のほうが遥かにインパクトでした。
当時の人々にこういうのが受け入れられていたのは、矢張り、カタルシスのようなものがあるのでしょうね。
過去にあのような絵画があるにもかかわらず、今の世の中で、表現上の些細なことで規制を付けるのが非常にくだらないような気がしてきましたよ……(´∀`;)
それに、少なからず、芸術家には狂気が必要なようですね。
いや、確かに、何事をなすにも偏向的に執着するような狂気は必要なのでしょうけれども……


葛飾北斎の娘もまた絵師(名は葛飾応為)だということは全く存じませんでした……orz
関羽が手術で片腕を切開されてるにもかかわらず、もう片方の腕で囲碁をしている場面を応為が描いてたりしますよ。
自分が小学校の頃に讀んだ三国志でかなり衝撃的で忘れることが出来ない場面でもあったのですが……共通するものがあったのかと思うと、なんとなく嬉しいですね(笑。


『美人観蛙戯図』なんかが気に入りました。
擬人化された蛙が相撲をしていて、それをきせるを加えながら観ている蛙や声を出して応援している蛙などが居て……
それを距離をおいて和洋折衷な絵で描かれた美人が眺めている、という絵です。



日本の伝統的絵画は見事なまでに西洋的な写実性に欠けております。
が、それでも見るに耐えれない部分ばかりではないと思うのです。