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第134回芥川賞受賞作です。

最近の小説とは一体どういうものが評価されるのだろうか、ふと思い立って読みました。




うーん……「芥川賞受賞作品とはこういうものですか」と感じたのが何よりも正直な心証です。

文芸春秋の選評にも書かれていた方がいらっしゃって、自分でも感じ取ったことですが、非常に無駄のない作品です。

良い言い方をすれば冗長な表現もなくコンパクトですが、個人的にはちょっと物足りない感がありました。

一番気になったことには、(あくまで自分から見てですが)文章が稚拙なことです。

確かに主人公の視点から書かれてますから、自分が好むような堅い表現を多用するのも確かにおかしいですが……

保守的とか批難されることを承知で申し上げれば、主人公が30代の女性にも関わらずあれ程度の語彙でしか表現なさらないのもどうかと思います。

自分の友人のライトノベル書きである偽教授氏がお作りになる文の方が好みです。

(これも偏見過ぎで申し訳ないのですが)彼の文章は、ライトノベルにも関わらず、知的に感じられますからね。

更に内容的なことを申し上げれば、幽霊と話しているとかいう時点でもう純文学として受け付けられない訳ですがorz

無論、会話のやり取りの中にも、「成程」と共感する部分もありましたけどね。

ただそういう要素を入れるならば、乙一氏のデビュー作の『夏と花火と私の死体』位やって欲しい気がします。

なんかなぁ……内容もこんな感じで、文自体もあまり魅力がなかったので「純文学なの?ラノベなの?」という感じでした。

以上、僭越ながらも愚見を述べさせて頂きました。




尤も、自分の好みの範疇というのは、戦前(ちょっとだけ戦後含む)あたりの感じの小説ですから……

そういう好みが一致しない時点で良い評価など出来る訳ないのかもしれません。

具体的に言ってしまえば、自分のような凡人が読めないくらいのお堅い文体が大好きです、辞書を片手にしなければ読めないような。

辞書にも載ってないような語彙を見つけるとワクワクします(何。

更にいってしまえば、小説読むよりかは哲学・芸術関係の本を、若しくは岩波とか講談社の新書読む方が好きですから……

そういう点で、このような小説を読むような器がそもそも出来てないのかもしれません。




……と、読み手は好きなだけ好きなこといえますからね。

それだけに終始するのは卑怯ですよね、ですから書きます、書きますよ……そして批判されてみます(謎。