「Post-stroke inhibition of induced NADPH oxidase type 4 prevents oxidative stress andneurodegeneration.」
脳梗塞、NADPHオキシダーゼ (NOX4)、VA2870




脳梗塞世界新第2位であり、一つだけ治療法が存在するものの90%の患者には禁忌である。
また、1000を超える脳梗塞治療薬が前臨床段階で失敗している。

脳虚血急性期においてNADPHオキシダーゼ (NOX4) が酸化ストレスの主要な供給減で、治療のターゲットとなる。
一過性及び永久脳虚血モデルで酸化ストレス、BBB破綻、神経アポトーシスに対してNOX4欠損マウスはNOX1、NOX2欠損では見られない強い抑制効果を性別や年齢に関係なく示した。
虚血数時間後に、低分子NOX阻害剤であるVA2870を検討したところ、保護作用を示した。


ROSには、スーパーオキシド(O2・)、過酸化水(H2O2)、ヒドロキシラジカル(・OH)、次亜塩素酸(HOCl)、一重酸素(1O2)、ペルオキシルラジカル(RO2・)、アルコキシルラジカル(RO・)などが含まれるが、これらの産生の根底としてNOXの発現が注目されている



NADPHoxidase4 (NOX4)
NADPHoxidaseには7つのアイソフォームがある(NOX1〜5、DUOX1〜2)。
NOX4は2000年に腎臓と甲状腺で同定された。血管系の小胞体や核膜に強く発現していることが知られている。
NOX4が他のNOXと異なる点はNOX4とp22phoxと結合するが、必ずしも細胞膜でのp22phoxとの会合を必要としない。
NOX4は他のNOXと異なり膜発現量でのROS産生を制御していると考えられる。
NOX4は、TNF-α、アンギオテンシンIIシグナル、PKC活性、高血糖により高められる。
Toll-like受容体4 (TLR4) とNOX4は結合することが確認されており、グラム陰性桿菌感染症ではTLR4シグナルが直接NOX4を活性化させ、ROSを産生する可能性が示唆されている。







「Reduction of ER stress via a chemical chaperone prevents disease phenotypes in a mouse model of primary open angle glaucoma.」

原発性開放隅角緑内障(POAG)、ミオシリン、Y437H、trabecular meshwork、ERストレス、フェニル酪酸(PBA)




PBA(4-フェニル酪酸):ERストレスを下げる



ミオシリンの変異は原発性開放隅角緑内障(POAG)の遺伝的要因の中で最も多いとされている遺伝子変異であるが、ミオシリンに関する緑内障の根本的メカニズムは殆ど分かっていない。



Tg-MYOCY437H成熟マウスにおいて眼組織におけるY437Hの遺伝子変異を含むヒトミオシリンの発現が確認され、緑内障様の表現型を示した。眼圧上昇・RGC死・軸索変性はY437Hのミオシリン変異によるPOAGの病態と酷似した症状である。


変異型ミオシリンは房水には分泌されていないが、小柱帯(trabecular meshwork*TM)の小胞体に蓄積し、Tg-MYOCY437HマウスTMにおいて小胞体ストレスが誘導されていた。さらに、慢性的で持続的なERストレスがTg-MYOCY437Hマウスにおける小柱網の細胞死や眼圧上昇に関与していることを見出した。ケミカルシャペロンのひとつであるフェニル酪酸(PBA)を用いたERストレスの抑制によって、房水中への変異型ミオシリンの分泌を促進し、さらに小胞体内のミオシリンの蓄積を減少させることで小柱網の細胞死を抑制し、結果的に緑内障様の症状を軽減した。以上の結果から、ERストレスが原発性開放隅角緑内障(POAG)の病態に関連しており、POAG患者に対する治療ターゲットになり得ることが示唆された。