アメリカ合衆国における視覚障害の検討では40歳以上の白人において視力0.01未満の視力障害の原因疾患の第1位がAMDで54.4%と最も多い。
わが国ではAMDは視力O.5〜O.3までのLow Visionの原因疾患の第4位と報告されている。


AMDの国際分類では,初期加齢黄斑症と後期加齢黄斑症に分類されている。
初期加齢黄斑症とは,ドルーゼンや網膜色素上皮の色素異常などがみられるもので、後期加齢黄斑症がいわゆるAMDである。
後期加齢黄斑症は,脈絡膜新生血管が関与する滲出型と,脈絡膜新生血管が関与せず網膜色素上皮や脈絡膜毛細血管の地図状萎縮病巣を認める萎縮型に分類される。

わが国において,一般地域住民を対象としてAMDを調査した疫学研究は,久山町スタディ舟形町スタディの2つがある。

(久山町スタディ
1998年のAMDの有病率はO.9%であり,おおよそ100人に1人の頻度であった。
AMDの分類別では,滲出型の有病率が0.7%,萎縮型の有病率が0.2%であり,滲出型が萎縮型よりも多くみられた。
また,女性(0.3%)に比べて男性(1.7%)が有意に高い有病率を認めた.一方2007年のAMDの有病率は1.3%に増加し,おおよそ80人に1人の頻度であった.AMDの分類別では,滲出型の有病率が12%,萎縮型の有病率が0.1%であり,この9年間で滲出型の有病率が有意に増加していた。



日本人のAMDの長期発症率は白人より少なく黒人より多い。

年々増加傾向にあることは有病率調査から明らかであり,今後は欧米並みに患者数が増加することが予想される。



参考:『加齢黄斑変性AMD)の疫学』安田 美穂 Geriat.Med.49(4):385〜387, 2011