基礎薬学-生物系


【遺伝情報】


複製・転写・翻訳の遺伝子情報の伝達機序をセントラルドグマという。


通常のDNAの螺旋構造は右巻きのB型であるが、水分が少ない時は直径の大きなA型、塩濃度が高いときには左巻きのZ型になることもある。
尚、Z型は1980年代に発見されるまで人工的にしか存在しないと考えられてきたが、染色体内で発見されている。


レトロウイルスは逆転写酵素RNA鎖をDNAに転写し、DNA-RNAハイブリッドを形成する。これを使ってこの同じ酵素が2本鎖DNAを作る。


トランスポゾンは時々活性化され、同じ細胞内の他のDNA部位に移動する。
これによって、ゲノムのDNA配列を変化させることで突然変異の原因と成り得、多様性を増幅することで生物の進化を促進してきたと考えられている。
また、トランスポゾンは遺伝子導入のベクターや変異原として有用であり、遺伝学や分子生物学において様々な生物で応用されている。ショウジョウバエのP因子が有名。



(92回 53)





【細胞内伝達物質】


一般に細胞膜受容体には親水性リガンドが結合し、ビタミンD3などの脂溶性リガンドは細胞質内の受容体に結合する。


脂溶性リガンドは核内受容体に結合して、リガンド・受容体複合体がプロモーターに結合する。


7回膜貫通型受容体は、通常、三量体Gタンパク質と共役している。Gタンパク質は約20種類あり、α、β、γの3種類のサブユニットからなる。刺激されない状態ではαサブユニットはGDPと結合している。


チロシンキナーゼ受容体はRasを活性化する。TGF-β受容体はセリン/スレオニンキナーゼを活性化する。



(92回 54)